「まずは自己紹介をお願いします」と言われて、自己PRで面接がスタートする場合が多いかと思われます。この自己PRを面接開始時に、自分自身のことについてどの面接でもいつも同じ内容で語る形式的なもの、と思っていませんか?
そう思っているならば、それは大きな間違いを犯しています。
まずはじめに、面接の合否は開始から数分で決まってしまうということを知ってください。面接開始直後の雰囲気が悪ければ、たとえその後の質問にうまく答えることができたとしても、次の選考段階に進めない場合がほとんどとなってしまいます。
それはなぜでしょう?
人は第一印象を無意識に大事にしてしまうので、面接官は「この人は最初に何を語るのだろう?」とその内容を重要視し、その印象が最後まで残ってしまうからなのです。
したがって、面接の最初の自己PRを軽く考え、適当にいつも同じ内容で語ることは大変危険なのです。自己PRは合格を左右するとても重要なものだと認識してください。
さらに自己PRそのものについて誤解している30代後半の人が多いことを指摘しておきます。
それは自己PRを自分自身のことについて語るものだと思いこんでいることです。30代後半の正しい自己PRとは、さらに別の視点が必要だということを分かっていません。
ここではこのような自己PRについて、30代後半の人がどんなことを語るべきかについて述べていきます。
私は30代後半において、すでに転職回数が5回以上と多かったのですが、毎回どの企業でも1次面接は突破してきました。
転職回数の多さから不利であろう私がどうして面接を通過できたのか?
それはやはり自己PRに秘訣があったからと思っています。
それでは30代後半の時の私が、自己PRに関してどのようなことを心がけていたのかをお伝えしていきましょう。この内容を理解すれば、驚くほど面接の通過率が上がると思います。
・どの企業の面接でも、同じ自己PRの使いまわしをしていませんか?
・自己PRは自分自身のことを語るものだと思っていませんか?
自己PRの意義
そもそも自己PRとは何か?
簡単にいえば、何も知らない相手に自分はこんなにも良い人材ですよと売り込む宣伝です。
自己PRには2種類ある
この自己PRは方向性として2種類が考えられます。
一つは、そもそも自分の能力がいかに優秀かをアピールする方法。
そしてもう一つは、自分はあなたの会社で働いたらこういうことができますよと今後の活躍をアピールする方法です。
つまり、今現在の自分のことをアピールする自己PRと、相手の企業に入った場合の未来の自分をアピールする自己PRの2種類があるのです。
30代後半がするべき自己PRとは?
では、30代後半の人がやるべき自己PRはこの2種類のどちらに重きをおくべきか?
それを今から述べていきますが、その前に比較として、若い20代の自己PRについて考えてみましょう。
20代の自己PR
まだまだ経験も少ない20代に対して、企業はあまりその人の実績は気にしないと思います。それよりはもともと備えている能力や地頭の良さ、そしてその能力などをどれだけ発揮できるかという本人のやる気を重視して面接を行う場合が多いでしょう。
ゆえに20代の自己PRは、自分がいかに優秀で熱意にあふれた人材だとアピールするほうが、企業に評価されやすくなります。
30代後半の自己PR
一方、30代後半の人に対して、企業は何を求めているか?
あったほうがより好ましいとは思いますが、能力・地頭の良さややる気だけを重視しているのではないのです。
何よりも求めているのは、即戦力になる人材。そしてその企業自身が抱えている問題を解決したいという、「企業の思い」を理解してくれる人を求めているのです。
したがって、30代後半の人が面接の場において自己の能力のみをさかんにアピールしても、「あなたの能力の高さは分かりました。けれどそれが何?」となりかねません。
面接相手企業側の立場になってその企業が抱えている問題点をきちんと把握する。そして自分ならその問題を解決できる人材、すなわち「企業の思い」を理解している人だと思わせるような自己PRをしてはじめて、企業はこの人を採用したいと思うのです。
さらには、自分が問題を解決できる人材だと証明する実績をアピールすることも、忘れてはなりません。
このように自分のことだけを語る20代のような自己PRをしていたら、いつまでたっても面接を突破し内定を得ることはできないでしょう。相手企業のことを十分に考慮した、30代後半の人にこそ求められる自己PRが必要なのです。
ではそのような自己PRをするためには、具体的にどうすればいいでしょうか?
次ではその点を述べていきます。
30代後半の自己PRとは、「企業の思い」を十分に考慮したものでなければならない。
自己PRをするために必要なこと
30代後半の人がやるべき自己PRとは、自分の能力だけでなく相手企業の問題を解決したいという「企業の思い」を十分考慮して語るべきだということについては、理解できたかと思います。
ではこの「企業の思い」を知るにはどこで情報を手に入れ、そしてその思いにこたえた自己PRを作成するにはどうすればよいでしょうか?
求人票を読み込む
転職エージェント経由で応募する場合、募集企業が作成した求人票がもらえるでしょう。求人票には「企業の思い」を知るためのヒントがいっぱい隠されているのです。
それなのに、多くの人がこの重要な求人票をきちんと読まないでいます。必ずしっかりと一字一句もらさずに読み込みましょう。
求人票には、人材募集の背景やどのような人材を求めているかが書かれています。必要な能力から経験、入社後にどんなことをやってもらいたいかなどが記載されているでしょう。
これらをじっくりと読めば、企業がどんな問題を抱え、そのためにどんな人材を求め、どのような活躍をしてもらい、さらには周りの社員にどのような良い影響を与えてくれるのかという切実な「企業の思い」が理解できるはずです。
そして、このような「企業の思い」を自分は理解している、自分こそはそれを解決できる人材だとアピールする自己PRを作成すればいいのです。
転職エージェントに質問する
転職エージェントは、企業の内情を知っています。
一般的に転職エージェントは担当業界というものがあって、その業界の企業と密にコミュニケーションをとって情報を収集しています。
このような企業の情報通である転職エージェントには、遠慮せずにたくさん質問をしましょう。以下のようなことを聞いて、「企業の思い」を把握し自己PR作成に役立ててください。
・企業が求人を募集するに至った詳しい背景
→例えば新設部署のためなら、新たなことに挑戦するのが好きなチャレンジ精神があるような自己PRに
・要求される能力や重視される経験や知識、具体的な仕事内容やミッション
→自身の能力や実績を鑑みれば、求められることは成功するというようなアピールを
・上司になる人や社長の考え
→あからさまにその考えに同意しなくてもいいが、自分もその考えに近いということを漂わせる
・過去に転職した人の特徴やどんな性格の人が好まれるか
→自分の性格等を語る時にその企業が好むものにする
企業の公式サイトをみる
企業サイトも情報の宝庫です。まさに「企業の思い」が集約されたものになっています。
多くの企業サイトには新卒者用の採用ページがあると思いますが、そこには企業が求める具体的な人物像など「企業の思い」が載っていることでしょう。
新卒者に対する人物像などではありますが、その企業が中途に欲している条件と基本的には同じと考えても間違いではありません。ぜひそれを参考に自己PRを作りましょう。
さらには、人事担当者が語っている記事などがあれば、しめたものです。人事担当がどのような考えに基づいて採用を行っているかが分かります。その考えに沿った自己PRにするのです。
また中途者用の採用ページがあれば、さらに自己PR作成の材料が集まります。中途者のインタビュー記事などがあると思いますので、それも参考にしましょう。
「企業の思い」を知るために、求人票、転職エージェント、企業サイトなどから情報収集すべき。
企業ごとに自己PRを作るのは当たり前です
「企業の思い」を理解し、それにこたえた自己PRを作成する。そして面接の場でうまく語ることができたら、面接通過の確率は段違いに上がることでしょう。
自分のことについて語る自己PR一本で、どんな企業の面接にも挑んでいた方は、今後は改めてください。
面接の前には、ここで述べたようにしっかりと「企業の思い」を知るために情報収集をして、その企業専用の自己PRを作らないといけません。それこそ30代後半の人に求められる自己PRなのです。
いちいち面接のたびに、自己PRを作成しなければならないのは大変だとは思いますが、これは合格のためにはやって当然のことです。
「企業の思い」を理解し、面接相手企業ごとにその都度専用の自己PRを作成すべき。これこそが30代後半の人に求められる自己PRです。
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